本当に人間はAIの支配により無用者階層になるのだろうか?

NHK出版から発行されている「教養としてのテクノロジー(NHK出版新書:伊藤穣一著)」には新しいテクノロジーとしてAI、仮想通貨、ブロックチェーン等に関する記事が載っている。特に、同書のAIに関する章には「AI」は「労働」をどう変えるのかについて、AIはオフィスで働く人間の仕事を代替(仕事を奪う)するのではないかと予測しつつも、AIという科学技術が人間の仕事を奪ったとしても人間が働くことがなくなるわけではない、としAIと労働について著者なりの「そもそも」論で記述されているので興味深く読ませてもらった。

 

そんな中、今朝の朝日新聞イスラエル歴史学者ハラリ氏へのインタビューとして次のような衝撃的な記事が載っていた。「人工知能(AI)とバイオテクノロジーの力でごく一握りのエリート層が、大半の人類を「ユースレスクラス(無用者階級)」として支配するかもしれない、「真の支配者(ルーラー)」はアルゴリズムになる。残された時間は多くはないと、急速にアルゴリズム(計算方法)の改良が進むコンピューターが人類を支配する将来が来かねないと警告した」とのこと。また、「今後10~20年の間に人類が直面する課題を三つ挙げた。核戦争を含む大規模な戦争、地球温暖化、そしてAIなどの「破壊的」な技術革新だ。特に技術革新については「30年後の雇用市場がどうなっているか、どんなスキルが必要なのかもわからない」と話し、どんな仕事にも就くことができない階層が世界中に広がる可能性も示した」とも。

 

もし彼の予言のように世の中が動き、AIが支配すると大半が無用者階層になるのは避けられないであろう。これには日本の経営者も関心を示し、その一人、みずほフィナンシャルグループの会長も否定しない。旅行業者と銀行員はすでに絶滅危惧種と呼ばれているそうである。しかし、なにも銀行員等だけではない。ありとあらゆる職業がAIのとってかわられるのだ。技術職だってしかりであり、税理士のような士業の仕事も例外ではない。そのため、これから新しい職に就く者、特に学生にとって、無用者階級にならないようにするにはどのような仕事に就けばよいか、今から自己の職業の選択を慎重に考えていく必要があるのではないだろうか。