ケガに泣いた稀勢の里

横綱稀勢の里が三日目の栃煌山戦の負けたのを最後に引退した。まだまだこれからと思っていただけに残念である。ケガにより思うように稽古もできず、実戦経験不足が足を引っ張ったのであろう。それにしても師匠だった先代の横綱隆の里と奇しくも同じように短命な相撲人生を終えざるを得ないのは何か不思議な因果を感じる。
 
稀勢の里と言えば中学生から大相撲に入門したタタキ上げであり、昨今の大学出の力士が多い中で個性のある相撲ぶりで好感のもてる力士であった。しかし、識者によれば左腕のケガが力士生命を短くした直接的な原因ではあるが、致命的だったのは下半身の弱さだったという。下半身の鍛え方としてシコは欠かせない。そのシコの踏み方では、一方の足を上にあげたときに他方の足で体を支え、それを交互に行うのであるが、稀勢の里は、一方の足をあげたときに他方の足で十分体を支えないうちにあげた足をすぐ降ろしてしまい、自身の体重を支える運動がうまくできず、力強い下半身ができなかったのだという。そういえば今場所の負けた相撲にもそのモロサがでた相撲があったが、こればかりは何ともできない。
 
今後は年寄「荒磯」を襲名し、田子ノ浦部屋付きの親方として後進の指導に当たるとのこと。自身の経験を活かし是非ケガにも強い力士を育ててもらいたいものである。
 
初場所も今日が中日で、早くも全勝の白鵬の優勝が予想される展開になってきた。稀勢の里に続いて鶴竜栃ノ心、御嶽海が相次いで途中休場となり、今のところ元気なところを見せているのは、貴景勝、阿武咲、新入幕の矢後などである。このままだと白鵬が独走してしまうので、それを阻止する力士が是非、出てきてほしいものである。勝負はこれからの後半戦である。